東京地方裁判所 平成9年(特わ)2391号
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官福垣内進、弁護人横井治夫(株式会社イバラキ及び大渕衛関係)、同牧義行、同内藤寿彦(以上両名、木名瀬商事株式会社及び木名瀬捷司関係)、同山田美好(和田収関係)、同本間勢三郎(飯山知幸関係)各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社イバラキを罰金二三〇〇万円に、
被告人大渕衛を懲役一年に、
被告人木名瀬商事株式会社を罰金二五〇〇万円に、
被告人木名瀬捷司を懲役一年六月に、
被告人和田収を懲役八月に、
被告人飯山知幸を懲役一〇月に、
それぞれ処する。
被告人大渕衛、同木名瀬捷司、同和田収及び同飯山知幸に対し、この裁判が確定した日から三年間それぞれその刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人和田収の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社イバラキ(以下「被告会社イバラキ」という)は、東京都渋谷区代々木一丁目五七番二号(平成四年一一月一日以前は、茨城県結城郡千代川村村岡一二四番地一)に本店を置き、一般廃棄物及び産業廃棄物の収集、運搬、中間処理及び最終処分業等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人大渕衛(以下「被告人大渕」という)は、同会社の監査役ないし取締役として同会社の経理業務全般を統括していたもの、被告人木名瀬商事株式会社(以下「被告会社木名瀬商事」という)は、千葉県野田市吉春八三六番地に本店を置き、土木工事、土・砂等の採取及び販売等を目的とする資本金一六〇〇万円の株式会社であり、被告会社イバラキから、茨城県結城郡千代川村所在の廃棄物処分場の掘削及び残土搬出等の工事を請け負っていたもの、被告人木名瀬捷司(以下「被告人木名瀬」という)は、平成六年五月二二日以前は被告会社木名瀬商事の代表取締役として、同月二三日以降は同会社の実質的な経営者として、同会社の業務全般を統括していたもの、被告人和田収(以下「被告人和田」という)及び同飯山知幸(以下「被告人飯山」という)は、架空取引の相手方になることによって、法人税等のほ脱に協力する意図を有していたものであるが、
第一 被告人大渕、同木名瀬、同和田及び同飯山は、共謀の上、被告会社イバラキの業務に関し、法人税を免れようと企て、外注費を水増し計上するなどの方法により所得を秘匿した上
一 平成三年九月一日から平成四年八月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億〇五九六万六二三八円(別紙1のNo.1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成四年一〇月二七日、茨城県下館市大字二木成八二三番地の二所在の所轄下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五四二六万三五六四円で、これに対する法人税額が二〇六五万四五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九五四号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三八九一万九四〇〇円と右申告税額との差額一八二六万四九〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れ
二 平成四年九月一日から平成五年八月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億一五七一万一七二七円(別紙1のNo.2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成五年一〇月二九日、東京都渋谷区宇田川町一番一〇号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五一〇一万〇六四一円で、これに対する法人税額が一九四一万三八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四二六一万四一〇〇円と右申告税額との差額二三二〇万〇三〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れ
三 平成五年九月一日から平成六年八月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億九九二七万一七八九円(別紙1のNo.3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成六年一〇月二四日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四三七四万三一七八円で、これに対する法人税額が一六四四万八七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七三九二万一二〇〇円と右申告税額との差額五七四七万二五〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れ
第二 被告人木名瀬、同和田及び同飯山は、共謀の上、被告会社木名瀬商事の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の工事原価を計上し、固定資産売却益を除外するなどの方法により所得を秘匿した上
一 平成三年五月一日から平成四年四月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億三五八五万四五一四円(別紙3のNo.1の修正損益計算書参照)で、課税土地譲渡利益金額が四三一二万四〇〇〇円であったにもかかわらず、平成四年六月三〇日、千葉県柏市あけぼの二丁目一番三〇号所在の所轄柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五三八万七〇八三円、課税土地譲渡利益金額が八五万二〇〇〇円で、これに対する法人税額が六八四万九八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額六二四九万五七〇〇円と右申告税額との差額五五六四万五九〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ
二 平成四年五月一日から平成五年四月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億四九〇八万三八二九円(別紙3のNo.2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成五年六月三〇日、前記柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六六五一万〇五〇六円で、これに対する法人税額が二四〇二万二五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の5)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五四八〇万〇六〇〇円と右申告税額との差額三〇七七万八一〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ
三 平成五年五月一日から平成六年四月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億一四七六万六〇四一円(別紙3のNo.3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成六年六月三〇日、前記柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五四四九万八七五四円で、これに対する法人税額が一九六六万三九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の6)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四二一二万四七〇〇円と右申告税額との差額二二四六万〇八〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
※ 括弧内の甲乙の番号は、証拠等関係カード記載の検察官請求証拠の番号を示す。
判示全部の事実について
一 被告人木名瀬、同和田及び同飯山の当公判廷における各供述
一 被告人大渕(四通=乙二ないし五)、同木名瀬(九通=乙一四ないし二二)、同和田(六通=乙二九ないし三四)及び同飯山(二通=乙三八、三九)の検察官に対する各供述調書
一 中山八雄(甲三一)及び神矢淳市(甲三二)の検察官に対する各供述調書
判示第一の事実について
一 被告人大渕の当公判廷における供述(ただし、被告人飯山の関係では第三回公判における供述を除く)
一 大蔵事務官作成の支払手数料調査書(甲三)、受取利息調査書(甲四)、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書(甲七)、減価償却の償却超過額調査書(甲八)、貸倒引当金繰入超過額調査書(甲一〇)、課税留保金額に対する税額調査書(甲一三)及び領置てん末書(甲三四)
一 検察事務官作成の材料費(甲一)、外注費(甲二)、雑収入(甲五)、雑損失(甲六)、事業税認定損(甲九)、交際費(甲一一)、交際費等の損金不算入額(甲一二)及び税務署の所在地(甲二九)に関する各捜査報告書
一 登記官作成の履歴事項全部証明書(乙六)及び閉鎖登記簿謄本二通(乙七、八)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の当期工事原価(土木原価)調査書(甲一五)、支払手数料調査書(甲一七)、受取利息配当金調査書(甲一八)、固定資産売却益調査書(甲二〇)、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書(甲二一)、減価償却の償却超過額調査書(甲二二)、減価償却超過額の当期認容額調査書(甲二四)、法人税額の特別控除税額調査書(甲二六)、課税土地譲渡利益金額に対する税額調査書(甲二七)及び領置てん末書(甲三九)
一 検察事務官作成の土木売上(甲一四)、交際接待費(甲一六)、雑収入(甲一九)、交際費等の損金不算入額(甲二三)、事業税認定損(甲二五)、課税留保金額に対する税額(甲二八)及び税務署の所在地(甲三〇)に関する各捜査報告書
一 登記官作成の登記簿及び閉鎖登記簿の各謄本(乙二三、二四)
判示第一の一の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(平成九年押第一九五四号の1)
判示第一の二の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の2)
判示第一の三の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の3)
判示第二の一の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の4)
判示第二の二の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の5)
判示第二の三の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の6)
(確定裁判)
被告人飯山は、平成七年四月二四日東京地方裁判所で恐喝罪により懲役二年六月、執行猶予五年に処せられ、右裁判は同年五月九日確定した(検察事務官作成の右被告人に関する前科調書及び右前科に係る判決書謄本によってこれを認める)。
(法令の適用)
※ 以下の「刑法」は、平成七年法律第九一号による改正前のものである。
一 罰条
1 被告会社イバラキの判示第一の各事実及び被告会社木名瀬商事の判示第二の各事実について
いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)。
2 被告人大渕の判示第一の各所為について
いずれも刑法六〇条、法人税一五九条一項。
3 被告人木名瀬、同和田及び同飯山の判示各所為について
いずれも刑法六五条一項、六〇条、法人税法一五九条一項(ただし、被告人木名瀬の判示第二の各所為については刑法六五条一項を除く)。
二 刑種の選択
被告人大渕、同木名瀬、同和田及び同飯山について、いずれも懲役刑。
三 併合罪の処理
1 被告会社イバラキ及び同木名瀬商事について
いずれも刑法四五条前段、四八条二項。
2 被告人大渕、同木名瀬及び同和田について
いずれも刑法四五条前段、四七条本文、一〇条。
被告人大渕については犯情の最も重い判示第一の三の罪の刑に、被告人木名瀬及び同和田については犯情の最も重い判示第二の一の罪の刑に、それぞれ法定の加重をする。
3 被告人飯山について
刑法四五条、五〇条、四七条本文、一〇条。
犯情の最も重い判示第二の一の罪の刑に法定の加重をする。
四 刑の執行猶予
いずれも刑法二五条一項。
五 訴訟費用(被告人和田の関係)
刑訴法一八一条一項本文。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑 被告会社イバラキ・罰金三〇〇〇万円、被告人大渕・懲役一年二月、被告会社木名瀬商事・罰金三〇〇〇万円、被告人木名瀬・懲役一年六月、被告人和田・懲役八月、被告人飯山・懲役一〇月)
(裁判官 安廣文夫)
別紙1 No.1
修正損益計算書
自 平成3年9月1日
至 平成4年8月31日
株式会社イバラキ
<省略>
別紙1 No.2
修正損益計算書
自 平成4年9月1日
至 平成5年8月31日
株式会社イバラキ
<省略>
別紙1 No.3
修正損益計算書
自 平成5年9月1日
至 平成6年8月31日
株式会社イバラキ
<省略>
別紙2
ほ脱税額計算書
株式会社イバラキ
(1) 自 平成3年9月1日
至 平成4年8月31日
<省略>
(2) 自 平成4年9月1日
至 平成5年8月31日
<省略>
(3) 自 平成5年9月1日
至 平成6年8月31日
<省略>
別紙3 No.1
修正損益計算書
自 平成3年5月1日
至 平成4年4月30日
木名瀬商事株式会社
<省略>
別紙3 No.2
修正損益計算書
自 平成4年5月1日
至 平成5年4月30日
木名瀬商事株式会社
<省略>
別紙3 No.3
修正損益計算書
自 平成5年5月1日
至 平成6年4月30日
木名瀬商事株式会社
<省略>
別紙4
ほ脱税額計算書
木名瀬商事株式会社
(1) 自 平成3年5月1日
至 平成4年4月30日
<省略>
(2) 自 平成4年5月1日
至 平成5年4月30日
<省略>
(3) 自 平成5年5月1日
至 平成6年4月30日
<省略>